政府・与党は積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)について、非課税で積み立てられる期限を延長すると発表した。
簡単に説明すると、最長で2037年末までだったのだが、いつから始めても20年間の運用に対しては非課税になる、ということだ。
さらに個人型の確定拠出年金(イデコ)も拡充して若年層に「老後の資産形成」を促したい、ということで、自民・公明両党は20年度の与党税制改正大綱にこのことを盛り込む予定のようだ。
これついて書いておく。
つみたてNISAの「しょぼさ」
「つみたてNISA」は2018年1月にスタートした制度なのだが、内容ははっきり言ってしょぼい。
「年40万円まで(月額約33,000円」の投資に関して配当や売却益が非課税になるというものだが、上限があまりにも低いのだ。
ちなみにワイは文句は言いつつもないよりはまし、ということでNISA枠で2つの某金融銘柄に投じていて、年利5%近くの配当をかれこれ5年間もらい続けている。
つまり、10年保有して、株価が半分になっても損はない、ということだ。
つまり、つみたてNISAを使うメリットは、定期的な配当だとか、手持ち分を売却した際の利益に税金がかかるのだが、この制度を活用している場合は、20年間で最大800万円まで、利益に対する税金がかからない、という日本国内では一応は数少ない優遇制度となっている。
注意点としては、この
「いつはじめても20年間無税制度」
は2037年末までの利用開始まで、ということだ。
イデコ(確定拠出年金)も拡大路線
さらに、イデコ(確定拠出年金)も拡充する方針になっていて、今回の税制改正大綱ではつみたてNISA同様、金額の上限の変更ではないのだが、年齢に変更があるようだ。
現時点では、60歳まで積立ができるのだが、これを企業型であれば「70歳」まで。
個人型であれば「65歳」まで延ばす、ということで幅が広がる見通しだ。
イデコ(確定拠出年金)の掛け金は個人の場合、所得控除の対象となっているから、自営組には数少ない防衛のための武器と言える。
会社員の場合は上限が低く、年間最大で「27.6万円」までの拠出になっているのだが、
拠出期間が5年延びることで、138万円を追加で積立ることができる。
上限(控除額)の低さに嘆くばかりなのだが、ないよりはましなのだろう。
投資環境の変化と政府の本音
信託報酬率や運営管理手数料は証券会社を中心に無料化に向かう。
これによって、ある程度の資金は流れていくのだろうが、政府(与党)が個人の資産形成のための政策を急ぐのは、結局のところ減額される公的年金だけでは老後の足しにもならなくなるから、ということだろう。
つまり公的年金がよりしょぼくなった場合の「逃げ道」作りだ。
どうせなら、
- つみたてNISAは年間40万円から倍の80万円
- 株式投資にかかる売却益、手数料の無料化
- イデコは、自営業でも月々68,000円の上限を10万円まで拡大
これくらいやって欲しかった。
政府がやりたいのは、国民の思考を「公的年金依存型」から「年金は自分で作る自己責任(自己防御)」へのシフトなのだろう。
次回へ続く(残酷な積立投資の現実)