やや乱暴な言い方になるが、
積立投資の終わらせ方は、始め方よりも超重要だから覚悟して読んでおけ!
というのが今回のテーマ。
- 積立投資の終わらせ方
- 投資でコントロールできるもの、できないもの
- 積立投資の終わらせ方その1:配分を徐々に変更
- 100マイナス年齢方式
- 積立投資の終わらせ方その2:崩す時は「定率化」
- 出口は、定額で引き下ろすのではなく、定率。
- 引き出す率、適切なパーセンテージは?
- 積立投資の終わらせ方その3:好きな時に好きなだけ
- 満期のその日に大暴落が来ても大丈夫?
積立投資の終わらせ方
積立投資とは、
・iDeCo(個人型確定拠出年金)
・つみたてNISA
・外貨ベースでの海外長期積立
などといったものが代表的だろう。一度スタートしてしまえば、その後は、毎月自動的に継続されて、本人が止めない限り、満期まで特にやることはない。
給料からの天引きであればあるほど、スタートしたことを忘れるくらい超簡単だ(のんびり保有するだけ)。
しかし、だ。
もし君が「積立」の投資を続けていて、満期のちょうどその日に、人類史上最大の大暴落が発生してしまった場合、どうするだろうか?
これに即回答できれば、今回は読む必要はなし。
慌てないように、自分なら先人たちの知恵を活かして、こう考えている、というシンプルな方法がある。
それをシェアしよう。
投資でコントロールできるもの、できないもの
投資全般においてコントロールできるものは、常識的なリスクの許容(損失額)と、積立額、そしてそのコスト(手数料)。
実はこれくらいしかないのだ。
つまり、満期を迎えた時点でのリターンは、どうなっているのかまったくわからない。
まさに、神のみぞ知るであって、20年後、30年後先の未来など人類には想像すらできないのだ。
逆に言えば、わからないからこそ、できることを明確にして、段階的に対策するのだ。
積立投資の終わらせ方その1:配分を徐々に変更
簡単に言えば、
ポートフォリオ全体に占める「株式比率」を下げて、より耐性力のある「債券比率」を高めていくのだ。
積極型から保守型へ徐々にな配分をシフトさせていく、というシンプルな方法だ。
リスクというものは、「資産配分」によって影響するから、これを「年齢」から逆算して、ポートフォリオ全体に占めるチャレンジ割合(株式)を徐々に債券型へ移動させるのだ。
個人型確定拠出年金と言われるiDeCo(イデコ)などといった長期投資には寿命(満期)があるから、この考えは特に有効だろう。
※海外籍の積立は満期後の積立はできないが、満期まで積み立てた資産は、子や孫に引き継がせていくことができるため(運用のみ可能だから承継を考えた場合の一代目の役割はマネーを投下し続けるだけだ)、この限りではないのだが「自分が使う分」を決定させるには、この考え方は役に立つだろう。
人間、誰もが歳をとる。
歳を取れば、投資できる期間も短くなる。そして、投資で損失が出た場合、回復にあたられる時間(期間)も次第に短くなっていく。
であれば、人生の後半になればなるほど、損失に対する「許容度」を下げていくのは、当然だろう。
100マイナス年齢方式
個人の資産配分(アセット・アロケーション)の決め方として、「100から年齢を引き算したパーセンテージを株式比率とする方法」
がある。
簡単に言えば、
「100からあなたの年齢を引いた割合=株式の割合」
という考え方だ。
例えば、あなたが現在、40歳であれば、100-40=60% となるから株式比率は全体の60%となる。
そして、残りの40%は債券を持つ、といった具合となる。
リスク許容度は人それぞれだと思うが、例えば、5年、10年ごとに10%株式の割合を減らして、国債にシフトさせていく、というのは、悪くない考え方だと思う。
これであれば、5年、10年ごとに棚卸しをするようなもので、いつ起こるかわからない「暴落によるリスク」も低下させることができるだろう。
国債であれば、最大損失額も株と比べれば、かなり少なくなるだろう。10年が長いなら、5年単位で5%ずつ株式の保有を債券ベースに、見直していってもいいと思う。
こうすることで、満期のその日に暴落が起こってからあたふたする、ということはなくなるのだ。
逆に満期までまだ時間があるという場合は、一時的な含み損などは気にせず、喜んで買い増ししていけばいい。
この考え方の面白い点は、基準を株の好調、不調に置くのではなく、自分の年齢に置く、という点だ。
これであれば、相場状況に関係なく、無難だと言える。
積立投資の終わらせ方その2:崩す時は「定率化」
例えば、退職した場合、これまで貯めてきた積立投資を取り崩していく、という段階、時期に入った場合はどうしたらいいのか?
人の行動パターンとして、利益を確定させるときは、心理上こうなる。
「そこそこの「含み益」が発生しているインデックスファンドは、そのままにして(税金もとられるから)、あまり含み益が出ていないインデックスファンドから売却しよう!
こういった具合で、感情などの要因によって利益が少ないものから先に売却しようとするのだが、これをすると、ポートフォリオ全体のバランスが崩れて、知らないうちに過大なリスクを負うことになりかねない。
リタイア後であれば、なおさら余計なリスクはとれない。
であれば、積立を切り崩す場合は、常に「定率」とすることをおススメする。
投資する時は、ドルコスト平均法で、定期的に積立をしてきたはずだ。これをすることで、取得単価を下げることができた。
これが入口部分。
出口は、定額で引き下ろすのではなく、定率。
出口は常に定率、と覚えておくといい。
そのワケを説明する。
結論から言えば、定額の場合は株価が低い時も多くの量を売る(利益確定する)ことになるので、株安の場合は、資産の減少を加速させてしまうからだ。
「定率」であれば、株価が高い時は、多くの投信を売り、株価が低いときには、少しの投信しか売らなくて済むから、運用資産が加速的に減少することはない。
もちろん定率のデメリットとして、例えば、毎月の取り崩しであれば、毎月の積立パフォーマンスは異なるため、引き落とし額も安定せず、バラバラとなる。
引き出す率、適切なパーセンテージは?
よく言われるのは、
「ポートフォリオの期待リターンから、インフレ率を引いた数字」
これが年間の取り崩し比率だと言われている。例えば、「定率」で引き出す場合のパーセンテージを「4%~5%」で設定したとする。
「インフレ率1.5%」として、年間4%~5%だけの取り崩しだけなら、計算上は、保有資産はほとんど減らさないで(株高ならむしろ回復できる割合)、運用し続けることも可能だ。
日本の場合は、インフレ率はほぼ0%だから、定率を考えるなら5%でもいいだろう、という判断だ。
ただ引き出しのタイミングでは、株式よりも債券の方が多くなっているだろうから、全体のパフォーマンスから考えると4%前後の方がより無難だと思う。
※あくまで目安なので、パーセンテージではなく、考え方を参考にするといい。
取り崩すタイミングは、毎月でなくても、半年に一回、年に一回、でいいだろう。
それこそ株価が絶好調なら1年に一回、半年で一回でいいかもしれない。
その後、仮に株価がさらに上昇しても、必要な分はすべに確保済みであることと、残りの運用資産はそのまま上昇の恩恵を受けるので、実は引き出しても気が付けば引き出した分は回復しているから、まったく痛くないのだ。
積立投資の終わらせ方その3:好きな時に好きなだけ
もっとも楽観的でシンプルな方法はこのパターンだろう。
- 満期を迎えたらあとは気にしない。
- 満期後に資産が減ることも一切気にしない。
- 必要になったら、必要なだけを取り崩して、使っていく。
カネはあの世には持っていけない。死んだら終わり、生きている間に、使うという考え方だ。
使えるお金は自分たちで使って楽しむ。
これも立派な考え方だと思う。
難しく考えず、必要な時に必要な分だけ取り崩す。残りは新規での積立はできないものの、引き続き運用のみ継続。
これでもいいだろう
満期のその日に大暴落が来ても大丈夫?
今回の方法であれば、徐々にポートフォリオを堅く、防御力を徐々に高めていくやり方であるため、満期のその日に大暴落が来た場合は、無傷とはならないが、それでも株式と比較すれば、ダメージに強い状態が構築されている。
リスクが比較的低い債券ベースであれば、ある程度の耐性もある。
さらに言えば、資産の取り崩しも大半は時間をかけて行っていくだろうから、仮にダメージを受けていたとしても、65歳で満期のケースで考えれば、平均余命はそこからまだ15年~20年はある。
これだけの時間があれば、債券ベースであるなら、十分回復するのではないかと思っている。
他の対策法もまだあるにはある。ゴールドを持ってヘッジする方法や、外貨ベースでの長期積立、運用の場合は、FXでレバレッジ1倍にして、為替を固定する、という方法もあるのだが、この辺りの話はややこしくなるので、今回は割愛。
※歳をとってから金(ゴールド)を自宅に置いておくのは、非常に危険だから止めた方がいいだろう。
今回の話は積立投資の終わらせ方としては、どれも基本的な考え方なのだが、だからこそ、力を発揮するのだ。
今回の記事は以上となるが、補足等あれば、本記事を更新する形で加筆&修正していきます(ブックマークがおススメ)。